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この号の特集/ |
スラウェシ島のお葬式 スマトラ沖大地震 フィリピーナの挑戦 ベッドの上のタイVSフィリピン アジアの風に吹かれて 新宿便り へこたれない女たち バンコク闇ナベ旅行 駐妻レイ子の雄叫び 僕が愛した女たち 風俗解放戦線 山崎つかさのバンコク日記 イヌが吠える どこかへ行きたい タイ芸能講座 行って見て来て76県 日本人女性 ギャンブル街道をゆく アジアで働く 旅のカラクリ ナンパラ |
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| フィリピーナの挑戦 チェンマイを騒がせた男 |
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| 2005年8月号(通巻69号)/680円 | ||||||||||
| 2005年8月号から: | ||||||||||
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【連載】世界飲食実記 僕が愛した女たち |
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| 最近、僕の評判が極めて悪い。やれジャンキーだのキチガイだの、まあその通りなんだが、改めて指摘されるとヘコむものだ。 そりゃあまあ、毎日ハッピーですよ。シラフのときなんかないんです。起きてから寝るまでひたすらに娘遊びをしてはゴロゴロ寝っ転がっているだけの生活なわけで、確かに屑。社会のゴミ。わかっちゃいるけど、やめられない。すみません、と思いながらGダイを眺めてみれば、懺悔中の猫巻にまで「悔い改めよ」と指弾されている(2005年5月号参照)始末で、これではいよいよ立つ瀬がない。 ■人生は恥ずかしい 娘には興味すらなかった童貞時代の僕は、インドでもネパールでも、娘が野菜として堂々と売られていたかつてのカンボジアでも、悪事に手を染めることなく、博物館や遺跡を巡って健やかな旅をしていた。 だが、旅を重ねれば重ねるほど、生半可な刺激では足りなくなるのが道理というもの。道端の乞食やボッタクリ程度でも、十分スリルとサスペンスを味わえたのはせいぜい学生時代まで。娘の味を覚えて以来、旅のスタイルは一変してしまった。 「初めての体験」は、いつのことやら覚えていない。同宿の旅行者たちのご相伴にあずかったり、気前のいい地元連中の輪に加わったりしたのが最初だと思う。しかし吸い方がヘタクソだったのか緊張していたのか、酩酊することもなく「フーンこんなもんか」で終わるばかり。「気持ちいい」なんて感覚も、まったくなかった。なので、あんなもん何がいいんだ、と半ば軽蔑、半ば羨望の目でふわんふわんのラリラリになった旅行者たちを眺めていた。 そんな素人童貞だった僕が、本当の意味で娘を知ったのは、スリランカだろう。 たぶん今は津波に押し流されてしまっているだろうが、南部のマータラという小さな町のはずれ、ビーチ沿いの民宿に僕は泊まっていた。すぐそばにはスリランカ最南端の岬に立つ灯台があり、小さな漁村があった。国の北部と東部では内戦が激化していたが、マータラは平和極まりない、眠ったような町だった。 当時の僕は、ジャーナリストになりてぇと馬鹿なことを考えており、北部の内戦地帯に何のアテもツテもなくふらふら出かけていったのだが、検問に引っかかってあっさりと追い返され、東部に行くバス乗り場では、外国人が巻き込まれたらややこしいことになるからとキップを売ってもらえず、意気消沈して南部マータラに敗走してきた世間知らずの恥知らず。 あーあ、これからどーすっかなあ。客引きに連れられてやってきた民宿で、鼻クソをほじりながらボンヤリ考える。気分転換にアラビア海でも眺めるべえかと、宿のすぐ外に広がる、誰もいない白砂のビーチに出た。ぽてぽてと散歩し、海に石をぶん投げ、ノラ犬を追っかけ回す。やがて日は傾き、灯台が幻想的な光を放ち始めた。 「ヘイ、なにしてんだ」 英語の問いかけに振り返ると、ガタイのいいハゲ野郎が笑顔で立っていた。 「そこの宿に泊まってんのかい?」 「はあ。そうっすけど」 「俺もなんだよ! HAHAHA!!」 なにが面白いのかよく分からない。だが妙な人懐っこさのある男だった。故郷のイタリアを出て、インドとスリランカを旅しているという。名前はマリオ。アジアを旅するのは初めてだとかで、すでに各地を見聞していた僕にあれこれ聞いてくる。 「キョージ、ベトナムはおもろいか?」 「白人が中国を旅するのは難しいかな?」 「バッババ、バンコクの夜はすげぇって、本当なのか?」 得意になって、僕は偉そうにあれこれと解説した。なぜか、やけに気が合った。 ふたりして宿に帰って、オーナー夫人手作りのスリランカカレーを貪り食ったあと、マリオは悪戯っ子のような笑みを浮かべて話しかけてきた。 「キョージ、海行こうぜ海。ラージがよ、ゴザとお茶用意してくれるってよ」 ラージとはこの宿に住み込みで働いている僕と同年輩のタミル青年で、オーナー夫妻の親戚だ。ヒマな旅の身、断る理由は何もない。僕たちは潮の引いたビーチに出て、やさしい海風の中、ゴザを広げた。 ■苦い初体験 「HAHAHA。旅の夜は、やっぱコイツだよなキョージ」 娘であった。 「やっぱキョージも、いろんな国で各地の名産、吸ってきたんだろ。いいよなあ」 「えっ、いやっ、まあそうね。はは」 「俺に巻かせてくれよ。得意なんだ」 ラージはマリオから一束の娘を受け取ると、慣れた手つきでほぐし始めた。 「マリオ、コレどこで買ったの」 ふと疑問に思い、尋ねてみると、 「ん、国から持ってきた。ミラノじゃあよ、誰でも吸ってるぜ」 聞けば、バックパックに無造作に詰めて、フツウに税関を通ってきたという。神をも恐れぬ所業に僕は心の中で十字を切ったが、のちのち自分も同じことを平気でやるようになるとは、この時はまだ知らない。 やがて完成したのは犬のチンコほどもある極太ジョイント。 「いいねえ(ブオノ)。器用だなラージ。いい出来だ。ブオノ」 「そんじゃキョージ、逝ってくれ」 ラージに差し出された、イタリア生まれの芳しきお嬢さん(シニョーラ)。 ええっと、タバコみたいに吸うんだよな。んで、肺に長く留めろと、誰か言ってたような……。着火して吸い込む。すっぱぁぁぁ〜〜んはっ、げほげほげほ。素人童貞のウブな気管支に、シニョーラの刺激は強すぎた。ぶふっ、げほげほ。 「どうしたキョージ、ヘタな吸い方しやがって。まさか娘は初めてか。どうて……」 「どどど童貞ちゃうわ!」 アセって吸ってはみるが、質量があるかのような濃密な臭いにむせ返る。今まで軽く味わった娘たちとは、パワーが違う。エロさが違う。げほげほ。 「ほれキョージ、茶だ。マンゴーもあるぞ。リラックス、リラックス」 ラージはセイロンティーを差し出しつつ、僕の背中をさすってくれた。マリオはマリオで「少しソフトにいこう」とか言って、娘棒を解体し、タバコを混ぜはじめる。ふたりしてあれこれ世話を焼いて……すんません僕、童貞なんすよ……うっうっ。 やがて落ち着いた僕は、少しずつ、ゆっくりと、そう波のリズムに合わせるように吸引し、マリオにシニョーラを手渡した。ゆったりと深く味わったマリオは、次にラージに回す。ふぅ。どうにか楽になった。 「キョージはなんでまた、スリランカに来たんだ。なんで旅してるんだ」 唐突にマリオが尋ねてきた。 「……その、いや実は、大学行ってたんだけど、旅にハマっちゃって。就職活動とかシカトしちゃってさあ。やってみたい仕事もあるんだけど、まあ、なんだ、しばらく旅を続けたいってのが本当のとこかなあ。分かんねぇよ」 不思議と、自分自身にも隠していた本音が出た。ジャーナリストもなにも全ては方便。ただ旅をしたいだけなのだ。 ジョイントが回ってくる。一服入れて、マリオに手渡す。 「マリオは?」 「うん……陸軍にいたんだけどな。キツくってさあ。給料は安いし。メンドーになって、しばらく旅しようと思っただけだよ。南インドでスリランカの評判を聞いて、それでやってきた」 そっかあ。みんないろいろ、いろいろあるんだなあ。僕も頑張らなくちゃ……って、アレ、何を頑張るんだっけ。ええと。気がつけば頭ぎゅんぎゅん、身体はふにゃふにゃ。うははは。何だこれ。 「内戦なんかやめてさぁ、みんなハッピーになろうぜぃ。えへへへ」 ラージが気持ち良さそうに言う。そうだ。ラブ&ピース。コレだよコレ。まったりいこうや。ははは。 「キョージどうだ、キテるか」 ラージの問いかけにこくこくと頷く。痺れるような温かな快感が、血流に乗って全身を駆け巡る。すげぇ。なんてイイんだ。これが、ハッピーというヤツか! 「キョ〜〜ジ。ブラボー。男になったな。うひひ。ブラ〜ボゥ!」 マリオはいきなり立ち上がると、シャツを脱ぎ捨てて海に向かって走り出した。 「いいかキョージ、就職なんかクソ食らえだ! 気にすんな!! お前はミラノに来て、ベスパに乗って悪人を退治するニンジャになるんだ! わかったな!!」 僕とラージも後に続く。いやっほ〜い! パンツ一丁になった僕たち3人は、夜のアラビア海に飛び込み、水を掛け合ったりプロレスごっこをしたり、ひとしきりキャッキャッとはしゃぎまくった。 こうして今に至る現実逃避の日々が始まった。ふたりの介添えによって無事“男”になった僕は、その後各地で娘遍歴を重ね、気がつけば屑。だが、これもまた人生。川の流れのようにはいかないが、煙のごとく、ゆらゆらと漂い続けるのだ。 マリオの野郎、元気でやってるだろうか。
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