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「犬巻さん! 皆で遊びに行きますので、ぜひ食事にいらしてくださいね!」
読者の方からメールが入って来た。どうやらこの方、家族全員はもちろん、近所の人まで巻き込んで総勢15人の団体でバンコクへ遊びに来るらしい。相変わらず私はお金がなく、仕事もない自由な貧乏の身なので、
「同行する思春期の娘にGダイアリーのことは内緒にすること!」を条件に、この団体に会うことになった。お嬢さんや奥さんに気に入られれば、滞在中は市内を案内し、お手当てまでくれるという。美味しい、美味しすぎる!
団体さん到着日の夕方、私は最新号のポメロ(タイ発行の女性誌)を手土産に、指定されたレストランへノコノコと出向いた。
「ウヘヘ。こんばんわー。初めまして。いただきます」
団体客用個室を覗くと、6人いる女性は皆色が白く、服装も清楚で絶対Gダイアリーの話は許されない匂いが漂ってきた。
「犬巻さんはぜひ、真ん中の席へどうぞ!」
勧められた席の右半分側はと言うと……。
「エライ日本語の上手なタイ人やな! Aさんコレ(小指)か? ガハハ!」
ハゲ、ブヨブヨ、脂ギットリ、ポマードこってり。しかもエラそうなオヤジが8匹も! 左側からは美人の冷たい視線が私の真横をすり抜けてゆく。お花畑と汚物の間に座った私に、招待してくれたAさんは何かを訴えるかのような目で料理を勧めてくれるが、何でこんなメンバー構成で遊びに来るねん!? 兎に角、タダ飯を奢ってもらい、且つお嬢さんに気に入られて父親のAさんから小遣いをもらう限りは、それなりに私も努力してみなければ! 持参したポメロを開いて、女心をくすぐる話題を何かと振り撒き、女性陣の席はすぐに賑やかになった。が、
「やっぱり、タイの男はエエか? だからバンコクにおるんか?」
オヤジが口を挟むと左側の席は水を打ったかのように静まり返った。女性が嫌悪感を抱かないよう強引に話題をゴルフに変え、オヤジのフェアウェイへの闘志を掻き立ててやり、爽やかな会話がオヤジの間から盛り上がってくる。空港の滑走路の横にあるゴルフ場の話を出すと、女性側にも興味のありそうな反応が出だし、何とか2種類の対極の席が中和をし始めた。その瞬間、
「19番ホールはタニヤでホールインワンじゃあ〜! ムハハハ!」
オヤジのしょうもない一言で潮が引いたかのごとく、左側の人々が遠くに感じられた。あかん、無駄な努力は止めてさっさと飯食っとくか……。
満腹になった午後8時頃、エロオヤジたちはさらにテンションが上がり、女性陣はお通夜の席と化していた。そろそろ気を利かせてやるか……。
「今夜は私が女性の皆さんを案内します。男性は安心低料金のタニヤの●●クラブで打ち上げしてください」
有無を言わせず、次々とやって来るタクシーにオヤジたちを先に押し込み、女性陣はトゥクトゥクに乗せて、タニヤから離れたナイトバザールへと引き離す。寡黙だった女性陣も先程とは打って変わっての大はしゃぎ。食事中、一番表情の硬かったAさんの奥さんからは、
「ごめんなさいね。私、あなたが夫の愛人だと疑っていたの」
んーもう、こんな美人な奥さんがいるのに、私みたいな豚が愛人な訳ないでしょ!
「犬巻さんは本当にいい人ね。でも……夫はあの取引先のお客さんたちと遊ぶのね……」
ブヒヒ、心配しないようにドブスとババアしかいない店に案内しておきました。奥さんもこれを聞いた途端、大笑い。ブフフ、これでAさんから小遣いもらえるぞ!
しかし、仕事はまだ終わらなかった。例のクラブから団体さん8人が犬巻を呼んでいると、ご指名の電話が入った。どうやらオヤジにも気に入られたようだ。サイフの紐の硬い女より、精子を出したいエロオヤジのほうが金まで無駄に放出するのを知っている私は、
「旦那さんじゃエロオヤジの操縦は手に余るようなので、お役目交代しに行って来ます。夫婦、親子水入らずを楽しんでくださいね」
と、さっさと乗り換えることにし、タニヤへ向かった。
店に入るとAさんは何度も礼を言い、女性たちの待つナイトバザールへと駆けて行った。ここからは、私の独断場! ミャヒンター(ミャンマー産の勃起薬)を押し売りして数千バーツを懐に入れ、ブスの売れ残りから優先的にオヤジへ上手くあてがい、では出発!
ホテルに到着し、連れ込み代を取られることなく全員が部屋へ戻った。帰ろうとすると、バスタオル1枚だけのブスが100バーツ札握り締めて、私を呼び止めた。久しぶりのお客さんを勧めてくれた感謝の気持ちらしい。私のお陰で皆幸せ! 充実感に浸りきったそのとき、
「犬巻さん、来ていたの?」
後ろから声をかけられ、振り向くと、そこにはAさんのお嬢さんが……。バスタオル姿のブスは慌ててオヤジの部屋へ引っ込んだ。残された私の手には100バーツ……。思春期の娘が汚れた大人の世界を目の当たりにし、私はご案内の仕事を失った瞬間だった。お嬢さんはその日以来、拒食症になってしまったと、後日Aさんから後悔メールが来た。
あのな、お父さん。一生懸命なのはわかるけど、大切な家族旅行にエロオヤジを連れて来たら滅茶苦茶になるのは当たり前やで!
イヌの格言:バンコク来るならメンバー選ぶべし
【イヌのプロフィール】
1972年4月26日生まれ。毎日オナニーが習慣。好きな体位:身勝手。好きな言葉:童貞。オヤジは本当に食べない。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/5306/
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